技能実習と特定技能って、何が違うのだろう?
外国人を受け入れるなら、どちらを使うべき?
お客さまからよく、このような質問をよく受けます。
この記事では技能実習と特定技能の違いについて、実際に外国人の受け入れをしている私が説明しましょう!
目的・職種・対象国・受入方法・在留期間・試験・家族帯同・転職可否の8項目に分けて、分かりやすくお伝えします。
技能実習と特定技能の違い
まずは技能実習と特定技能の違いについて、分かりやすく表にまとめました!
技能実習 | 特定技能 | |
---|---|---|
目的 | 経済発展の援助 | 人手不足の解消 |
職種 | 制限なし | 14業種 |
対象国 | 15ヵ国 | 9ヵ国 |
受入方法 | 管理団体を間に通す | 直接雇用 |
在留期間 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 |
特定技能1号:5年以内 特定技能2号:期限なし |
試験 | なし (介護はN4レベルの日本語能力が必要) |
技能水準や日本語能力水準を試験で確認 |
家族帯同 | 不可 | 2号のみ可能 |
転職 可否 |
原則的に不可 | 同じ職種であれば可能 |
ではそれぞれの項目について、以下でくわしく説明しましょう!
目的の違い
技能実習と特定技能は下記のように、目的が大きく違います!
<技能実習>
日本の技能を開発途上国の人へ伝えて、経済発展を助けるために導入されました。
出身国では難しい技能の修得を目指す外国人に対して、日本の滞在を許可します。
<特定技能>
日本国内における労働力不足を解消するため、新たに導入されました。
人材不足が深刻な分野で働く外国人に対して、日本の滞在を許可します。
技能実習は母国での修得が困難な技術や知識を外国人に学ばせるため、20年以上も前から行われてきました。
参考:在留資格「技能実習ビザ」とは?技能実習制度の概要やメリットなどまとめ
それに対して新しい在留資格の特定技能は、労働力不足をおぎなう制度として作られています。
参考:在留資格「特定技能ビザ」とは?技能実習制度の概要やメリットなどまとめ
技能実習は「発展途上地域の支援」、特定技能は「外国人労働者の就労」と目的が異なるわけです。
職種の違い
技能実習と特定技能は下記のように、受け入れ可能な職種が違います!
<技能実習>
技能実習は基本的に、すべての職種で受け入れられる。
しかし、技能実習生2~3号へと移れるのは下記の職種のみ。
・農業関係(2職種6作業)
・漁業関係(2職種9作業)
・建設関係(22職種33作業)
・食品製造関係(11職種16作業)
・繊維・衣服関係(13職種22作業)
・機械・金属関係(15職種29作業)
・その他(15職種27作業)
<特定技能>
・外食業
・宿泊
・介護
・ビルクリーニング
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・素形材産業
・産業機械製造業
・電気・電子情報関連産業
・建設業
・造船・舶用工業
・自動車整備業
・航空業
技能実習は1号だけならすべての職種で受け入れできるのに対し、特定技能は14業種しか受け入れできません。
参考:技能実習生を受け入れられる職種の一覧!外国人ができる作業は?
参考:特定技能の外国人が働ける14業種・職種まとめ!転職はできる?
したがって外国人の立場に立ってみると、技能実習の方が日本で働くハードルが低いです。
対象国の違い
技能実習と特定技能は下記のように、対象となる国が違います!
<技能実習>
・インド
・インドネシア
・ウズベキスタン
・カンボジア
・スリランカ
・タイ
・中国
・ネパール
・バングラデッシュ
・フィリピン
・ベトナム
・ペルー
・ミャンマー
・モンゴル
・ラオス
<特定技能>
・ベトナム
・フィリピン
・カンボジア
・中国
・インドネシア
・タイ
・ミャンマー
・ネパール
・モンゴル
技能実習は15カ国なのに対して特定技能は9カ国で、技能実習の方がちょっと多いです。
受入方法の違い
<技能実習>
通常は営利を目的としない管理団体が技能実習生を受け入れて、傘下の企業で実習を行わせます。
海外からの送り出し機関から企業が直接的に雇用する場合もありますが、ごくわずか(2.8%)です。
<特定技能>
受け入れ企業が直接的に海外で採用活動を行うか、斡旋機関を通じて採用が行われます。
支援機関は介入するものの、基本的には企業と労働者のそれぞれが主体として労働契約が結ばれるのです。
技能実習は基本的に管理団体を間に通すのに対し、技能実習は直接雇用が原則です。
参考:技能実習生の監理団体の業務や役割は?管理団体を選ぶ時のポイント6つ
したがって、受け入れ方法は正反対と言って良いでしょう。
在留期間の違い
技能実習と特定技能は下記のように、日本に滞在できる期間が違います!
<技能実習>
1号:1年以内
2号:2年以内
3号:2年以内
<特定技能>
1号:通算5年
2号:上限なし
特定技能2号では滞在の期間に上限がないので、永住権を得ることも難しくありません。
特定技能は日本で働いてもらうのが目的ですので、技能実習よりも在留期間は長くなります。
試験の違い
技能実習と特定技能は下記のように、入国時の試験が違います!
<技能実習>
原則的に試験制度なし
(介護職種の場合は入国する際にN4レベルの日本語能力が必要)
<特定技能>
・全分野共通の日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト)
・それぞれの職種別の技能試験
・介護分野限定の日本語試験(介護日本語評価試験)
技能実習の場合、介護分野でなければ特に試験は必要ありません。
また介護分野であっても、日本語の試験だけでオッケーです。
それに対して特定技能は、日本語の能力や技能の水準を試験で確認する形になります。
参考:特定技能の評価試験とは?介護など分野別の日程スケジュール
家族帯同の違い
技能実習と特定技能は下記のように、家族を連れてこられるかが違います!
<技能実習>
家族の帯同は不可
<特定技能>
1号:家族の帯同は不可
2号:家族の帯同は可資
技能実習は数年で母国に帰ることが前提なので、家族を呼ぶことはできません。
しかし特定技能2号は在留期間の制限がなく、家族を呼び寄せて日本で働き続けることができます。
ただしここでいう家族とは配偶者や子供を指し、親や兄弟姉妹は該当しません。
転職可否の違い
技能実習と特定技能は下記のように、家族を連れてこられるかが違います!
<技能実習>
原則的に不可
しかし実習実施者の倒産などやむを得ない場合は可能
<特定技能>
同じ職種であれば可能
しかし技能の共通性が確認されている範囲に限られる
技能実習はあくまで実習をさせてもらう立場であり、途中で職場を変えることはできません。
それに対して特定技能の場合、同一の産業分野であれば転職することが可能です!
たとえば介護職員として採用された介護施設をやめて、別の福祉施設で働くことが認められています。
しかし介護業から外食業へ、分野を超えての転職はできません。
参考:特定技能の外国人が働ける14業種・職種まとめ!転職はできる?
まとめ
外国人の労働者を受け入れるのによく使われる制度として、技能実習と特定技能があります。
これらは似ているようで、目的・職種・対象国・受入方法・在留期間・試験・家族帯同・転職可否など色々と違うのです。
外国人の受け入れを検討している企業は、これらの違いを把握して目的に合った制度を使いましょう。
外国人を雇用したい方へ
弊社では、「特定技能」の受入・紹介を行っています。
外国人の雇用は手続きが多くて難しく、管理も複雑で大変です。
また間違ったやり方をした場合、雇用者が罰せられる可能性もあります。
外国人の雇用はぜひ、私たちプロにお任せください!