技能実習生が失踪する理由は何?
失踪した時はどうしたら良いの?
お客さまからよく、このような質問を受けます。
この記事では技能実習生の失踪について、実際に外国人の受け入れをしている私が説明しましょう!
また失踪時の手続きや失踪を起こさないための対策などについても、分かりやすくお伝えします。
技能実習生の失踪が問題に
最近、技能実習生を受け入れる企業が増えてきました。
しかし同時に、失踪してしまう技能実習生が問題となっています!
法務省が発表したデータによると、無断でいなくなる技能実習生が年々増えているのです。
年度 | 在留している技能実習生 | 失踪した技能実習生 | 失踪する割合 |
---|---|---|---|
平成26年 | 155,206人 | 4,847人 | 3.1% |
平成27年 | 167,626人 | 5,803人 | 3.5% |
平成28年 | 192,655人 | 5,058人 | 2.6% |
平成29年 | 228,588人 | 7,089人 | 3.1% |
平成30年 | 274,233人 | 9,052人 | 3.3% |
平成26年からの5年間で、約26,000人もの技能実習生が失踪しています!
このことから、「技能実習は良くない制度なのでは?」と問題視されているのです。
技能実習生が失踪する理由
技能実習生が失踪する理由として、主に以下の3つが挙げられます!
・賃金が少ない
・働く環境が過酷
・実習後も働きたい
ではそれぞれについて、以下でくわしく説明しましょう。
賃金が少ない
技能実習生が失踪する一番の理由は、なんといっても賃金が少ないことです!
法務省の調査では、約7割の技能実習生が失踪の理由として「低賃金」と回答しています。
働く業種や職種によって状況は違いますが、多くの技能実習生の手取りは月給10万円以下です。
もちろんこれは、税金・社会保障・住宅費などの費用が天引きされています。
したがって、金額自体には問題ありません。
それでも日本に来る技能実習生の多くは、母国が過酷な経済状況に襲われています。
自分の生活費を出したあと母国に仕送りすることを考えると、月給10万円以下は厳しいでしょう。
したがって「もっと稼げるところに行こう」と考え、元の職場から消えてしまうのです。
また悪質な送り出し機関や監理団体から、「もっと稼げる仕事がある」とSNSでだまされ…
そのまま失踪してしまう技能実習生も、近年は増えているようですね。
働く環境が過酷
働く環境が過酷なのも、技能実習生が失踪する大きな理由の1つです!
特に建設業や工場現場では、厳しい労働環境に耐えきれず逃げ出す技能実習生が増えました。
NHKでは以前、裁縫工場で働くベトナム人が以下のような状況で働かされているのを放映しています。
参考:ノーナレ「画面の向こうから―」 – NHKドキュメンタリー
・劣悪な住環境
・ほとんどない休み
・長時間の労働
また言語があまり通じないストレスも、技能実習生にとっては大きな負担でしょう。
ただでさえ異国で慣れない環境の中、職場も過酷だと技能実習生は逃げ出してしまいます。
実習後も働きたい
「現地の生活がつらい」という理由で、日本に来た技能実習生も多数います。
そういった方は技能実習が終わった後も日本で働くため、失踪するケースがあるのです!
日本での在留期間が終わると、いかなる理由があっても技能実習生は帰国しないといけません。
技能実習生の区分により、日本に滞在できる期間は以下のように定められています。
参考:技能実習2号や3号への移行対象職種は?申請手続きに必要な書類の一覧
・技能実習1号:1年間
・技能実習2号:2年間
・技能実習3号:2年間
新しくできた特定技能によって、日本で働ける期間はトータルで増えましたが…
移行には一定の条件をクリアせねばならず、誰もが滞在を延長できるわけではありません。
参考:技能実習から特定技能への移行方法!変更できず帰国しか選べない職種は?
「失踪して日本に不法滞在」⇒「十分に稼いで自国に送金」⇒「出頭し日本のお金で強制送還」
こんなことを計画している技能実習生がいるのも、現状としてあります。
失踪したときの対策
技能実習生が失踪してしまったとき、「どうすれば良いのか」とあせる企業は少なくありません。
技能実習生が失踪してしまったときは、以下のような対策を行いましょう!
1. まず地方入国管理局に技能実習生の失踪届を提出する
2. 事実確認を含めて監理団体に連絡して対処してもらう
3. 事件の可能性もあるので警察への連絡もあわせて行う
技能実習生の失踪に関する手続きは、すべて会社で行うわけではありません。
監理団体への連絡を第一に行い、団体の指導のもとで手続きをすれば大丈夫です。
監理団体について、くわしくは下の記事を読んでください。
参考:技能実習生の監理団体の業務や役割は?管理団体を選ぶ時のポイント6つ
失踪者を増やさないために
技能実習生の失踪者を増やさないため、企業は以下のような対策も事前に行うべきです!
・「住環境が劣悪」「給料が最低賃金以下」など、技能実習生の労働条件を見直す
・技能実習生と面接をする際には、仕事内容や賃金に関する説明をしっかりと行う
・それぞれの国で実習生の送り出し機関を十分に選別し、変なところと取引しない
・受け入れ企業が技能実習生と積極的にコミュニケーションをし、心のケアを行う
「失踪するのは技能実習生が絶対に悪い」と、考えてはいけません!
失踪する技能実習生が増えているのは、企業の劣悪な労働条件が大きな原因です。
技能実習生を責める前に、賃金や労働時間など様々な点を見直しましょう。
まとめ
技能実習生を受け入れる企業が増えている裏で、失踪する技能実習生が問題となっています。
技能実習生が失踪する主な理由は、「給料が安い」「働く環境が過酷」「研修後も働きたい」です。
失踪者を増やさないためには、まず自社の労働条件をしっかりと見直してください。
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